久しぶりに映画館で映画を観てきました。
https://happinet-phantom.com/plan75/
前回映画館で観たのはいつだろう?タイトルは何だったっけ?と考えても思い出せません。
そんな私ですが5月末に知人から「高校の同級生が撮った映画がカンヌで受賞した!全国ロードショーなので是非観てください!」という連絡をもらい、映画の内容にも少々心惹かれましたので映画館に足を運んで観てきました。
若者による高齢者殺人が多発したことをきっかけに満75歳になったら自分の生死を選択できる制度が施行された超高齢化社会日本の近未来が舞台。
市役所の若い職員は申込者に準備金として10万を支給することや当日まで何の心配もいらないようにケアすると笑顔で説明し、まるでポイントカードか何かのキャンペーンのように街中に特設会場が設けられ、TV画面からはCMも流れる。不安になったり寂しくなったら“その日”を迎えるまでの間、コールセンターに電話をすれば女性が優しく話を聞いてくれ、住居の後始末も埋葬も全部行政が引き受けてくれるとても“親切”な制度がPLAN75
モノトーンに近い鮮明な色の少ない映像ともの静かに流れる音楽、役者さんのセリフも心情を説明するようなものは一切なく、目や表情、動作だけで表現され、登場人物たちの日常が淡々と描かれていきます。途中「このシーンは何を意味しているのだろう…」と思うこともしばしば。結末さえも受け手の想像次第。単純に「泣けた~」なんて感想を語れるものではなく、全て観た人が感じ、想像することで命の大切さや生きる意味を考えることが求められた映画だったと思います。
観賞後とても複雑な気持ちになりました。
現実はそんな社会にならない(してはいけない)と思いつつ、20年後には間違いなく主人公と同じ年齢の独居老人になるであろう自分が同じ選択を迫られたら…。老いた体、希望しても仕事がない、住む場所やお金の問題、仲間との別れ、痴ほうetc.の不安や現実の中で何があっても“生きる”ことを選べるか…。
しかし、東京では『トップガン-マーヴェリック』をしのぐ観客動員だというニュースを目にしましたが、岐阜はガッラガラでした。私も誘われなければ観ない種の映画でしたが、とても考えさせられた忘れられない作品になりました。